カウント スリー! ツー! ワン! GO!



オッス!おら!
大好きなトモちゃん・ユウちゃんを惑わす小悪魔(多分、絶対、相当可愛い)な身分をわきまえていない中学生男子をやっつける―――じゃない、一応見るため単身氷帝学園中等部に乗込んでやるんだ!


....って決めたのが火曜日


あたしは話を聞いた その日その瞬間に中等部に突入―――じゃない、訪問する気だったんだけど、授業をサボってまで行っても中等部だって授業中だし、成績と出席日数もそろそろやばいし、やめておいた。 そして、火曜日は一週間のうちでも一番授業が長い日で、更に最後の時間が体育だったため、過酷な授業と彼氏中坊事件で一日騒いで疲れてしまい、放課後には灰になっていたのでした。あたし体力ないんだよ・・・・!

そして、次の日 つまり水曜日は(中学生にはできない)バイトをいれていたため、無理でした。ラーメン屋さんでアルバイト!元気にやってるよ!今度食べにきてよ!

そして、その次の日 つまり木曜日は単身でついに氷帝学園に突入してやろうと思っていたのですが、よくよく考えたら私は氷帝っ子ではないので氷帝学園にどうやって行けばいいのかわからないことに気がつきました。 駅までついてようやくトモちゃんに電話して 氷帝ってどうやって行くの!?と聞くと、呆れた声で彼女は言いました。
「明後日の午前中、練習試合があって ユウも私もそれ見に行くから、連れて行ってあげる。だから今日は家に帰りなさい。」と。


だから今日は土曜日。


「おっしゃーー!待っとれクソガキーーーー!」
火、水、木、金、土曜日。もう少しで胸のうちに湧き上がってきたメラメラと燃ゅる闘志が不完全燃焼してしまうところだったけど、トモちゃん・ユウちゃんに連れられて何とか敵地に潜入成功! テンションがあがった あたしは一目散に走り出した。


うん。

当然如く、迷った。


我ながら、阿呆だ。呆れた。普段はこんなことする子じゃないんです、あたし。
どこにでもいる ちょっとマヌケでちょっと暑苦しいっていうオプションがついた ごく普通の女子高生なんです、あたし。
一時のテンションで考えなしに行動してしまうって とても怖い。ね。
氷帝学園(中等部)はとても広くて、あたしはスーパーとかで迷子になった4歳児の気分になった。今年誕生日がきたら、18歳になるというのに。

「...ねぇ、こんなのだから あたしには彼氏が出来ないのかい?」
「へぇ〜〜 彼氏いないんだ?じゃぁオレの彼女になればいいよ」

!!!!!

本当はそんなに凹んでないんだけど、ちょっと独り善がりな台詞を言ってみたくなって呟いたら
思 わ ぬ 返 答 が !

あたしは ばっ と声のした方を見て びたっ と自分の頬に手を当てて ぐるん と反対方向を向いた。
...わかりにくいだろうか。とにかく先程の台詞を吐いた人物を確認した後、背をむけたのである。




うわ、何これ、ナンパ?ナンパ?ナンパなの?? ナンパだよね?
てか恥ずかしッ 意味不明な独り言聞かれちゃった!
あたし 超変な子じゃん!否定しきれない気もしないでもないけど!
だってさっきの台詞言うとき、シリアスちっくな雰囲気を醸し出しちゃってるかも〜〜 とかって ちょっとニヤニヤしちゃったし?
ぃゃぃゃぃゃ そんなことより 今この状況、どうしたらいいの
ものすごい恥ずかしい!ものすごい気まずい!
何で ばっ びたっ ぐるん ってこっちむいちゃったの!?
ものすごく怪しいじゃん!あたし不審者じゃん!
てか金髪のくるくるのフワフワだったよ!あのチャラ男!(※ナンパしてきたから)
ぃゃぃゃぃゃ もうこの際金髪でもくるくるでもフワフワでも何でもいいよ
とりあえず、どうする、!!!




あたしはライフカードのCMのように選択肢のカードが欲しい!と心の中で叫んだ。
そしたらチャラ男(仮)(※ナンパしてきた金髪だからあだ名決定)があたしに向かってこう言った。




「...なぁ、おめぇ、もしかしてテニス部見に来た?」


いぇす! ざっつ らーーぃと!!





070425wed